海とともに
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岩手の貴重な文化が近代化の波に流され失われようとしていた時、身を挺して守り伝えた人がいます。郷土史家、新渡戸仙岳(にとべ せんがく)です。
新渡戸は、教師、記者、また書家や俳人として幅広く活躍するとともに、岩手県内外から郷土に関する文献や資料を蒐集し、郷土文化の保護と啓蒙普及に尽力しました。彼が蒐集した資料は、昭和24年(1949)に岩手県立図書館に寄贈され、以来「新渡戸文庫」として、その志とともに今日まで受け継がれています。
平成21年(2009)に没後60年という節目の年を迎えた新渡戸仙岳の足跡をたどり、あわせて当館所蔵の新渡戸文庫を紹介した企画展です。
開催期間 | 2010年2月20日(土)〜3月30日(火) ※2010年2月26日(金)、3月1日(月)〜9日(火)は休館 |
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開館時間 | 9:00〜20:00 ※最終日は17:00まで |
会場 | 岩手県立図書館 4階展示コーナー |
安政5年(1858)、盛岡馬町(現在の盛岡市清水町)にある峯壽院住職の家に生まれる。藩校作人館に学んだのち、岩手県小学伝習場下等小学科、岩手師範学校を卒業。県内各地の小学校に赴任し、明治40年(1907)の盛岡高等女学校校長を最後に教職から退く。その後は岩手日報社記者、また岩手県誌編纂委員や史蹟名勝天然紀念物調査委員などを務め、亡くなる直前まで郷土資料の保存と郷土史の普及に尽力した。書家・俳人としても知られ、看板や扁額、碑文などの揮毫を依頼されることも多く、それらは現在でも盛岡市内の街角や神社・寺院などで目にすることができる。
吉田孤羊の仲介により、新渡戸は昭和22年(1947)から岩手県立図書館の嘱託として後進の指導にあたっていた。そんな折、自宅が火事に見舞われ、それをきっかけに蔵書を県立図書館に寄贈することに決めたといわれている。図書館では、岩手県議会図書室史料部の一ノ倉則文、太田孝太郎、淵沢定行、吉田義昭らの協力のもと、寄贈資料のうち郷土関係資料の整理と目録の作成を行い、昭和29年(1954)に『新渡戸文庫郷土資料目録』を刊行した。新渡戸が半生を捧げて蒐集した資料は、郷土の貴重な財産「新渡戸文庫」として、今日まで受け継がれている。
肖像画像提供:盛岡市先人記念館