掲載日:平成31年4月21日
軍事・輸送・農耕など、馬と人との関わりは深く、歴史的に見ても馬は重要な役割を果たしてきました。特に東北地方は、古来より日本有数の馬産地として有名だったとされています。中世には糠部郡(ぬかのぶぐん 現在の青森県東部~岩手県北部)に馬牧が設置され、近世においても盛岡藩は馬産を重要視し、藩営の牧場を設けて良馬の育成を行いました。
庶民の生活においても、信仰の対象や年中行事の一つとして、馬や、それをモチーフにした道具が用いられるほか、馬は運搬や農耕などの使役として同じ屋根の下で共に暮らし、大切に育てられました。近代以降、モータリゼーションの進展や農業機械の普及に伴い、私たちは日常生活において、馬の姿をほとんど見ることがなくなりました。しかしながら岩手では、馬産地として栄えた名残として、南部曲がり家、オシラサマ、チャグチャグ馬コなどの馬事文化が現在も受け継がれています。
本展では、日本と岩手における馬と人との歴史をたどるとともに、馬にまつわる生活様式や信仰、年中行事を関連資料で紹介します。「馬」を通して郷土の文化に触れ、理解を深める機会となれば幸いです。