更新日:令和2年9月30日/掲載日:令和元年6月19日
岩手県出身の画家・深沢省三の生誕から、今年で120周年を迎えます。省三は、県立盛岡中学から絵画の道を志し上京、東京美術学校在学中に帝国美術院美術展覧会(帝展)に初入選しました。そして児童文学雑誌『赤い鳥』などに挿絵を描き、童画の世界で活躍します。戦時中は大陸に渡り、モンゴルで美術指導に携わりました。
同じく岩手県出身の妻紅子は、県立盛岡高等女学校から東京女子美術学校へと進学し、卒業後二科展に入選、女流画壇の若き先駆けとしてその名を馳せました。省三と同様に絵本や雑誌に挿絵を描き、また文筆も手掛けました。後年、国際的な美術展に作品を出品するという活躍もしています。
ふたりは終戦後、盛岡で子どもたちや若者のために図画教室や岩手美術研究所を開設、ともに盛岡短期大学美術工芸科の教授をつとめるなど、美術教育にも力を注ぎました。
童画家として"童心"を大切にした省三と、野の花のような、たおやかさ、慎ましさ、たくましさを尊んだ紅子。生涯にわたり絵を描き続けたふたりは、それぞれ挿画や装幀の仕事を通して多くの文化人と交流を重ね、当時の文学界、児童文学界に彩りを加えました。
本展では「絵描き夫婦」省三・紅子の足跡をたどるとともに、ゆかりの文学作品を関連資料で紹介します。