掲載日:令和2年9月30日
更新日:令和2年3月28日
日本国憲法には、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」とあります。教育は、人が幸せに生きるために必要な「知」を次世代の人々へ伝える営みであり、教育を受ける側の人間形成に大きな影響を与えるものです。
江戸時代は経済産業の隆盛などに伴い、学問、教育も大いに普及し、庶民皆学の基盤が形成された時代です。江戸後期の識字率は、世界の最高水準だったと言われています。明治以降、多くの偉人を輩出している岩手においても、この時期の教育は相当の歩みをたどってきたと言えるでしょう。盛岡藩の藩校を見ると、それまでの武術稽古場が儒学教育を標榜し「明義堂」と称してから、今年で180年。明義堂はのちに「作人館」と改称されます。県内ではほかにも一関藩「教成館」や盛岡藩洋学校「日新堂」など、数多くの教育施設がありました。また『学軌』を著した江帾五郎や、洋学を教えた大島高任、八角高遠、仙台藩校「養賢堂」の教官を務めた大槻家一族など、多くの優れた教育者が活躍しました。
本企画展では学制発布までの江戸時代の教育事情を見渡し、当時の岩手の藩校や郷校、広く庶民教育に貢献した寺子屋を含む教育施設と、それらを支えた著名な教育者について紹介します。江戸時代における学びや教育のあり方は、主体的な学習が求められる現在の社会において何かの参考となるのではないでしょうか。
企画展「人をつくる~岩手・江戸期の教育~」を担当者が解説します。時間までに、アイーナ4階 岩手県立図書館 企画展示コーナーまでお集まりください。